
側にいられるだけで④【牡丹の花の咲く頃には】
第12章 第二話 【はまなすの咲く町から】 心のありか
あの浜辺に行くには、どうしても寺の側を通らなければならない。万が一、見知った顔に出逢えば厄介だが、寺で起居する僧侶たちが寺外に出ることは滅多とない。たった一枚の塀で囲まれただけではあれども、やはり寺の中は俗世とは隔絶された人外の世界なのだ。
ゆえに、よほどのことがなければ、寺の僧侶と遭遇する心配はない。キョンシルは我が身に言い聞かせた。広大な境内を取り囲むように低い塀が張り巡らされている。その脇を細道がずっと海岸まで続いていて、キョンシルたちがかつて暮らした建物からは、裏の小さな門を抜けて海岸に出るようになっていた。
ゆえに、よほどのことがなければ、寺の僧侶と遭遇する心配はない。キョンシルは我が身に言い聞かせた。広大な境内を取り囲むように低い塀が張り巡らされている。その脇を細道がずっと海岸まで続いていて、キョンシルたちがかつて暮らした建物からは、裏の小さな門を抜けて海岸に出るようになっていた。
