
側にいられるだけで④【牡丹の花の咲く頃には】
第12章 第二話 【はまなすの咲く町から】 心のありか
再度の問いかけにも、トスは依然として沈黙を守っている。苦い微笑がキョンシルの口許をよぎった。
「どうせ私なんて、何の役にも立たないものね。それどころか、トスおじさんの荷物になるだけの存在だもの」
「キョンシル、俺は」
言いかけたトスにキョンシルは声高に叫んだ。
「どうせ、私は厄介者なんだから」
踵を返そうとしたキョンシルの手を咄嗟にトスが握った。
「待て」
「放して」
涙が溢れそうになる。ここに来るまではトスともう一度解り合えたならと願っていたけれど、キョンシルが幾ら懇願しても、トスは何も応えてはくれない。もう絶望的だ。
「どうせ私なんて、何の役にも立たないものね。それどころか、トスおじさんの荷物になるだけの存在だもの」
「キョンシル、俺は」
言いかけたトスにキョンシルは声高に叫んだ。
「どうせ、私は厄介者なんだから」
踵を返そうとしたキョンシルの手を咄嗟にトスが握った。
「待て」
「放して」
涙が溢れそうになる。ここに来るまではトスともう一度解り合えたならと願っていたけれど、キョンシルが幾ら懇願しても、トスは何も応えてはくれない。もう絶望的だ。
