
側にいられるだけで④【牡丹の花の咲く頃には】
第12章 第二話 【はまなすの咲く町から】 心のありか
「いいや、そなたが何と言おうと、俺は放さない」
トスはキョンシルの肩を両手で掴むと、強引に自分の方に向かせた。
「俺がお前に何も話さなかったのは―」
「私がトスおじさんにとって取るに足らない存在だったからでしょう」
「違う、そうじゃない」
押し問答に焦れたのか、トスが怒鳴った。
「人の話を少しは黙って聞け。俺がお前に何も話さなかったのは信用していなかったからじゃない。お前に醜い自分を見せたくなかったからだ」
キョンシルがうつむけていた顔を上げた。
「醜いですって? 何でトスおじさんが醜いの?」
トスはキョンシルの肩を両手で掴むと、強引に自分の方に向かせた。
「俺がお前に何も話さなかったのは―」
「私がトスおじさんにとって取るに足らない存在だったからでしょう」
「違う、そうじゃない」
押し問答に焦れたのか、トスが怒鳴った。
「人の話を少しは黙って聞け。俺がお前に何も話さなかったのは信用していなかったからじゃない。お前に醜い自分を見せたくなかったからだ」
キョンシルがうつむけていた顔を上げた。
「醜いですって? 何でトスおじさんが醜いの?」
