
側にいられるだけで④【牡丹の花の咲く頃には】
第13章 第三話 【むせび泣く月】 出逢いはある日、突然に
すかさず横から烈しい声が飛んだ。
「それは、あの子どもの家が貧しくて、その日の食べるものにも事欠く有様ゆえであろう! そなたも人並みの分別のある大人ならば、そのような子どもが財布を盗もうとしたからといって、仕置きをするには及ぶまい。もう少しは穏便な済ませ方というものがあるはずだ」
見れば、つい今し方、ソマニによって地面に叩きつけられた若者が叫んでいる。
「何だとォ? こいつ、まだ俺の拳が欲しいのか」
ソマニが憤怒の形相で握りしめた拳を振り上げる。
「止めて!」
キョンシルが叫ぶのと再び若者にソマニの拳が飛ぶのはほぼ同時のことだった。若者の細い身体は呆気なく後方へ飛び、今度こそ地面に打ち伏したきり動かなくなる。
「それは、あの子どもの家が貧しくて、その日の食べるものにも事欠く有様ゆえであろう! そなたも人並みの分別のある大人ならば、そのような子どもが財布を盗もうとしたからといって、仕置きをするには及ぶまい。もう少しは穏便な済ませ方というものがあるはずだ」
見れば、つい今し方、ソマニによって地面に叩きつけられた若者が叫んでいる。
「何だとォ? こいつ、まだ俺の拳が欲しいのか」
ソマニが憤怒の形相で握りしめた拳を振り上げる。
「止めて!」
キョンシルが叫ぶのと再び若者にソマニの拳が飛ぶのはほぼ同時のことだった。若者の細い身体は呆気なく後方へ飛び、今度こそ地面に打ち伏したきり動かなくなる。
