
側にいられるだけで④【牡丹の花の咲く頃には】
第13章 第三話 【むせび泣く月】 出逢いはある日、突然に
「―当たり前でしょ。熱がある人を追い出すだなんて、人間のすることじゃないわ。ソンじゃなくても、誰でもこうして引き止めるわよ」
「そうだな」
ムキになって言うキョンシルに優しく頷き、ソンは笑った。
「何だか、こうやっていると母上に看病して貰っているようだ」
「そういえば、ソンのお母さまは亡くなったと昨夜、言っていたわね」
「もう、八年も前の話だよ。私が十歳の冬、風邪を引いてしまったのが因でね。元々、身体の丈夫な人ではなかったゆえ、生命取りになってしまった」
「そうだな」
ムキになって言うキョンシルに優しく頷き、ソンは笑った。
「何だか、こうやっていると母上に看病して貰っているようだ」
「そういえば、ソンのお母さまは亡くなったと昨夜、言っていたわね」
「もう、八年も前の話だよ。私が十歳の冬、風邪を引いてしまったのが因でね。元々、身体の丈夫な人ではなかったゆえ、生命取りになってしまった」
