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側にいられるだけで④【牡丹の花の咲く頃には】

第13章 第三話 【むせび泣く月】 出逢いはある日、突然に

「お前たち、ここで今、何をしていた?」
 ややあって、押し潰されるようなしじまをトスが破った。
「別に何もしてはいません。ただ、キョンシルが私の看病をしてくれていただけで―」
 ソンが言おうとするのに、トスは一喝した。
「煩いッ。お前になぞ訊いてはいない。俺はキョンシルに訊いているんだ。キョンシル、応えろ」
 寡黙で物静かなトスとは別人のような激高ぶりだ。
「トスおじさん、本当よ。私たちは何も」
 縋るように言うと、トスが嗤った。
「ホホウ、今時の若い者たちは昼日中から褥でいちゃつくのも看病のうちだと言うのか?」

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