側にいられるだけで④【牡丹の花の咲く頃には】
第14章 第三話 【むせび泣く月】 意外な事実
今日も都の目抜き通りは、押すな押すなの人だかりである。まさにこの賑わいを目の当たりにしていると、この朝鮮という国が繁栄の真っ直中にあるのが判る。
ソンはゆっくりと歩きながら、嬉しげに市の賑わいを見回している。その表情は単に代書屋で欲しい本を貰ったからというからだけでもさそうだ。
「こうして賑わう町の様子を見るのは、何か気持ちが和むようだ」
「そうね。でも、ソン。あなたも見たでしょう。火龍のソマニの財布を盗もうとした子よ。確かに今、都は繁栄の一途を辿っているけれど、その一方で、どんなに働き通しに働いても、その日の食べる物にすらありつけない貧しい人もいるの。あんな辛い目をしている子どもが都にはたくさんいるわ。
ソンはゆっくりと歩きながら、嬉しげに市の賑わいを見回している。その表情は単に代書屋で欲しい本を貰ったからというからだけでもさそうだ。
「こうして賑わう町の様子を見るのは、何か気持ちが和むようだ」
「そうね。でも、ソン。あなたも見たでしょう。火龍のソマニの財布を盗もうとした子よ。確かに今、都は繁栄の一途を辿っているけれど、その一方で、どんなに働き通しに働いても、その日の食べる物にすらありつけない貧しい人もいるの。あんな辛い目をしている子どもが都にはたくさんいるわ。