側にいられるだけで④【牡丹の花の咲く頃には】
第14章 第三話 【むせび泣く月】 意外な事実
「何を言うの。馬鹿なことを言うものではないわ。私たち、まだお互いのことを何も知らないじゃない。それに、ソンと私では身分が違うでしょう」
「―やはり、駄目か? ならば、結婚の約束云々は別として、世話になった礼としてこの靴を贈りたいのだと申しても、キョンシルは受け取れぬか?」
だが、靴を贈るのが求婚の証というのは、最近、都の若い男女の間で流行り始めたことで、何の根拠もないものだ。昔からの伝統・習慣というわけではない。
ならば、ここまで言われて受け取らないというのも、かえって大人げないだろう。
「判った。その靴を頂きます」
「―やはり、駄目か? ならば、結婚の約束云々は別として、世話になった礼としてこの靴を贈りたいのだと申しても、キョンシルは受け取れぬか?」
だが、靴を贈るのが求婚の証というのは、最近、都の若い男女の間で流行り始めたことで、何の根拠もないものだ。昔からの伝統・習慣というわけではない。
ならば、ここまで言われて受け取らないというのも、かえって大人げないだろう。
「判った。その靴を頂きます」