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側にいられるだけで④【牡丹の花の咲く頃には】

第14章 第三話 【むせび泣く月】 意外な事実

 この国は長年、清国に臣下の礼を取り、朝貢国として忠誠を誓ってきたという歴史がある。国王の即位でさえ、清国皇帝の同意を得られなければ正式な王とは認められないという、見方を変えれば屈辱的な立場であった。
 ソンはキョンシルの言葉を否定するように首をひねる。この時代、清国から伝わる文化が朝鮮にとっては最先端とされた。そんな風潮の中でのソンの反応は意外ではあった。
「ソンは清国が嫌いなの?」
「いや、別に好きとか嫌いとかの問題ではないよ。確かに清は大国だ。ゆえに、我が国が見習うべきことはたくさんある。それは認める。でも、かといって、大国だから、すべてにおいて我が国が清国に劣っているとは限らない。キョンシル、私は日頃から、考えているんだ。

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