テキストサイズ

側にいられるだけで④【牡丹の花の咲く頃には】

第14章 第三話 【むせび泣く月】 意外な事実

「「キョンシル」
 キョンシルは呼びかけられ、ハッと我に返った。殿下―、この国でそう呼ばれる人はただ一人、唯一にして至高の存在、国王だけである。気づいたのは、老人とソンの会話半ばくらいだ。よもや自分と同じ屋根の下で数日間暮らしたその人が国王だなんて、考えだにしなかった。
 だが、ここまで来たからには、真実を認めないわけにはゆかない。ソンは紛れもなく朝鮮国王なのだと。
「国王(チユサン)殿下(チヨナー)」
 キョンシルがその場に土下座すると、ソンは淋しげに笑った。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ