側にいられるだけで④【牡丹の花の咲く頃には】
第14章 第三話 【むせび泣く月】 意外な事実
キョンシルはわざと素っ気ない声で応じた。
「あのお爺さんの言うとおりね。あなたは甘えているわ、ソン」
「―」
ソンの瞳がキョンシルを射るように大きく見開かれる。
「世の中には毎日、懸命に働きどおしに働いても、その日の食べる物にも事欠く人もいるのに、あなたは立派な宮殿に暮らし、日々、ご馳走を食べている。私がさっき、あなたに言ったことをもう忘れてしまったの? 火龍のソマニから財布を盗もうとした子どものような貧しい人がこの都にはごまんといるのよ?
「あのお爺さんの言うとおりね。あなたは甘えているわ、ソン」
「―」
ソンの瞳がキョンシルを射るように大きく見開かれる。
「世の中には毎日、懸命に働きどおしに働いても、その日の食べる物にも事欠く人もいるのに、あなたは立派な宮殿に暮らし、日々、ご馳走を食べている。私がさっき、あなたに言ったことをもう忘れてしまったの? 火龍のソマニから財布を盗もうとした子どものような貧しい人がこの都にはごまんといるのよ?