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側にいられるだけで④【牡丹の花の咲く頃には】

第15章 王宮という名の伏魔殿

「まさか、私はもう町に帰れないの? このまま王宮にいなきゃいけいないの」
「そうは言わないけど。でも、すぐにすぐ帰すというのは無理だ。キョンシルは今夜、私の新しい妃ということで、ここに来たのだから」
「妃って、まさか」
 流石に疎いキョンシルも頬を赤らめる。
「そうなんだ。内実はともかく、キョンシルは今夜、私の寝所に夜伽をするために来たんだよ」
「そんな」
 キョンシルは絶句してしまった。いきなり攫われて宮殿に連れてこられ、挙げ句に国王の慰み者になれ―と、そう言われているのか?

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