
側にいられるだけで④【牡丹の花の咲く頃には】
第15章 王宮という名の伏魔殿
「キョンシルには今まで格好悪いところばかり見せてきたからね。たまには男らしくビシッと決めて見せないと」
冗談めかして笑いながら言った。今日のソンはいつもの龍袍(りゆうほう)(王の正装)ではなく、運動用の動きやすい上衣とズボンに着替えている。頭には翡翠の填った布を巻き、色白の面にはうっすらと汗が浮いて頬は赤みを帯びていた。まさに、十八歳という若々しさ、少年から青年へと変わりゆく過渡の繊細さと荒削りな部分が微妙に入り混じっている。
ふいに、キョンシルの胸の鼓動が跳ねた。
トスへの想いにいささかの迷いも揺らぎもないのに、その一方でソンに次第に惹かれてゆく自分がいることを自覚しないわけにはいかなかった。
冗談めかして笑いながら言った。今日のソンはいつもの龍袍(りゆうほう)(王の正装)ではなく、運動用の動きやすい上衣とズボンに着替えている。頭には翡翠の填った布を巻き、色白の面にはうっすらと汗が浮いて頬は赤みを帯びていた。まさに、十八歳という若々しさ、少年から青年へと変わりゆく過渡の繊細さと荒削りな部分が微妙に入り混じっている。
ふいに、キョンシルの胸の鼓動が跳ねた。
トスへの想いにいささかの迷いも揺らぎもないのに、その一方でソンに次第に惹かれてゆく自分がいることを自覚しないわけにはいかなかった。
