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側にいられるだけで④【牡丹の花の咲く頃には】

第15章 王宮という名の伏魔殿

―私ってば、何を考えているの?
 キョンシルは一時的にここにいるだけ。ソンの妃というのは、見せかけにすぎないのだから。
 いつまでもソンの側にいてはいけないのかもしれない。その時、キョンシルの心は決まった。やはり、自分は宮殿を一日も早く出るべきなのだ。今夜にでも、ソンに話してみよう。
 キョンシルが想いに耽っていると、傍らから臨尚宮が囁いた。
「淑媛さま、贈り物を賜ったお礼をお忘れではありませんか?」
 キョンシルはハッとして、ソンを見上げた。
「殿下、可愛らしい小鳥を頂き、ありがどうございます」

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