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側にいられるだけで④【牡丹の花の咲く頃には】

第15章 王宮という名の伏魔殿

「この鳥は一羽では鳥籠に入れては飼えない。でも、一つだけ、方法がある」
 いつしかキョンシルはお世辞ではなく、ソンの話に引き込まれていた。
「一体、どんな方法なのですか?」
「一羽だけでなく、雄と雌、つがいで飼えば、鳥籠に入れておいても良いと言われているんだよ」
「本当に?」
「私は実際に試してみたことがないから、判らないよ。雪見鳥は鳥籠の中でつがいの相手を失ってしまったら、直に残りの一羽も死んでしまうという。ゆえに、試してみようにもできないんだ。折角、清国の皇帝からはるばる贈られてきた貴重な鳥を死なせるわけにはゆかないから」

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