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側にいられるだけで④【牡丹の花の咲く頃には】

第15章 王宮という名の伏魔殿

 キョンシルは眼を瞠った。
「殿下、私が頂いたのは、清国の皇帝陛下より殿下が頂いた贈り物だったのですか!?」
 ソンは事もなげに言う。
「別にたいしたものではない。私が鳥籠に入れた雪見鳥を一羽にしないのは、もし好奇心に負けてそんなことをして本当に死んでしまったら、鳥が可哀想だからだよ。何も清国の皇帝をはばかっているわけではないんだ」
 どうもソンは先王とは異なり、ただひたすら清国皇帝に臣従を誓い、清国の文化を取り入れようとする王ではないようである。そういえば、町の代書屋でも言っていたはずだ。
―大国だから、すべてにおいて我が国が清国に劣っているとは限らない。キョンシル、私は日頃から、考えているんだ。見習うべき点は積極的に見習えば良いし、我が国独自の誇れる文化は大切に守ってゆけば良い。何も、すべて清国の真似をする必要はないと思う。

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