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側にいられるだけで④【牡丹の花の咲く頃には】

第15章 王宮という名の伏魔殿

「こんなに腫れて。何もここまで力任せに叩かなくても良いのに。あの狐女」
 キョンシルが頬を膨らませるのに、臨尚宮が笑った。
「狐女、温嬪さまのことですか?」
「そうよ、狐みたいな顔して、ぷりぷり怒ってばかり。今に本当に狐になるかもしれないわ。そうしたら、とっ捕まえて、山に棄ててきてやるんだから!」
 臨尚宮はプッと吹き出した。
「淑媛さまは面白きお方にございますね」
 笑うと頬が痛むのか、かすかに顔をしかめている。
「それとも、毛皮を剝いで市で売ろうかしら。上等の毛皮は高く売れるわよ?」
「淑媛さまは、さりげなく怖ろしいことを平気でおっしゃいますねえ」

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