
側にいられるだけで④【牡丹の花の咲く頃には】
第16章 第三話 【むせび泣く月】 飛翔する鳥
ソンが今夜、撫子を見せようと思い立ったのは、キョンシルの好きな花だからということもむろんあったろうが、亡くなった母を思い出すよすがでもあったからではないか。
キョンシルの家に滞在していた時、ソンは確かに言ったのだ。母は撫子のように儚くも強い女人であり、キョンシルはまたソンの母に似ていると。
儚い笑みがソンの秀麗な面に浮かんだ。
「ホン内官の存在がなければ、私も父上同様、とうに気が狂っていたかもしれない」
「ホン内官はソンにとって、とても大切な人なのね」
「そなたには迷惑極まりない話だったろうけど、ホン内官はすべて私のために良かれと信じて、そなたをここに連れてきたんだ。ホン内官は単なる臣下というよりは、私の祖父のようなものだ」
キョンシルの家に滞在していた時、ソンは確かに言ったのだ。母は撫子のように儚くも強い女人であり、キョンシルはまたソンの母に似ていると。
儚い笑みがソンの秀麗な面に浮かんだ。
「ホン内官の存在がなければ、私も父上同様、とうに気が狂っていたかもしれない」
「ホン内官はソンにとって、とても大切な人なのね」
「そなたには迷惑極まりない話だったろうけど、ホン内官はすべて私のために良かれと信じて、そなたをここに連れてきたんだ。ホン内官は単なる臣下というよりは、私の祖父のようなものだ」
