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側にいられるだけで④【牡丹の花の咲く頃には】

第16章 第三話 【むせび泣く月】 飛翔する鳥

「私は常民にすぎないのよ。側室になるにも難しいくらいなのに、王妃さまになんてなれるわけがないじゃないの」
「私はこの国の王だ。キョンシル、私が望めば、どんなことだって叶うさ」
「ソン、良い加減に眼を覚ましてちょうだい。王であるあなたがいつまでも我が儘な子どものようなことを言っていたのでは、この国はどうなるの? あなたには、この国の民と朝廷を守るという大切な役目があるはず」
「どうしてなんだ? どうして、今になって、そんなことを言い出すんだ」
「ごめんなさい。もっと早くに言うべきだったのは判っているわ」

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