
側にいられるだけで④【牡丹の花の咲く頃には】
第17章 第四話 【牡丹の花咲く頃には】・戻らぬ男
「旦那さまが苦しまれているのは、その方に今のお気持ちを伝えられないからでしょう?」
「しかし―。これは俺一人が勝手に悩んでいることだ」
「それでも、お二人で話し合われることで、何らかの解決策は見つかりますわ。その分、お互いの気持ちもよりよく理解できるでしょうし」
「―」
トスが黙って首を振ると、女は真下からトスの貌を覗き込んできた。
「こんなことを申し上げては何ですけれど、私、その方が憎らしい」
「しかし―。これは俺一人が勝手に悩んでいることだ」
「それでも、お二人で話し合われることで、何らかの解決策は見つかりますわ。その分、お互いの気持ちもよりよく理解できるでしょうし」
「―」
トスが黙って首を振ると、女は真下からトスの貌を覗き込んできた。
「こんなことを申し上げては何ですけれど、私、その方が憎らしい」
