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側にいられるだけで④【牡丹の花の咲く頃には】

第17章 第四話 【牡丹の花咲く頃には】・戻らぬ男

 そのソンがキョンシルとは何もなかったと断言した。つまり、言葉どおり、二人の間には何事も起こらず、キョンシルは名目上の妃であっただけのことだ。
 事実としてはそれだけの話なのに、トスはそのことに大きな引っかかりを憶えずにはいられない。毎夜、キョンシルが自分ではない別の男と同じ褥で眠り、昼間は昼間でその男に微笑みかけていたかと想像しただけで、嫉妬に身体が熱くなる。
 その中には、あらぬ妄想までが湧き起こってきて、トスを責め苛むのだ。
 後宮の殿舎の一室、豪奢な夜具の上で絡み合う二人、即ち若き国王とその愛妾とされたキョンシル。キョンシルは一糸まとわぬ姿でソンの上に跨り、淫らに白い身体をくねらせている。ソンが下から烈しく突き上げる度に、何とも艶めかしい喘ぎが桜色の唇から零れ落ちた。

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