
側にいられるだけで④【牡丹の花の咲く頃には】
第17章 第四話 【牡丹の花咲く頃には】・戻らぬ男
「まあ、夜も明けたし、おっつけ兄貴も戻ってくると思うよ。もし何かあったら、知らせて」
ウンスクはそう言うと、扉を閉めて帰っていった。気の好い働き者で、銀細工職人としての腕も確かな若者だが、少々人間に軽いところがあるのが欠点といえば欠点だ。しかし、女の方から見れば、その頼りなげなところもまた保護欲をかき立てられるというわけで、それが図らずもウンスクが女性に人気のある理由でもある。
あれだけモテるのだから、さっさと結婚すれば良いのにと誰もが思うが、当のウンスクは
―兄貴と姐さんが祝言を挙げて、晴れて世にも認められた夫婦にならねえ中は、義弟の俺が結婚なんてできるか。
という論理らしい。
ウンスクはそう言うと、扉を閉めて帰っていった。気の好い働き者で、銀細工職人としての腕も確かな若者だが、少々人間に軽いところがあるのが欠点といえば欠点だ。しかし、女の方から見れば、その頼りなげなところもまた保護欲をかき立てられるというわけで、それが図らずもウンスクが女性に人気のある理由でもある。
あれだけモテるのだから、さっさと結婚すれば良いのにと誰もが思うが、当のウンスクは
―兄貴と姐さんが祝言を挙げて、晴れて世にも認められた夫婦にならねえ中は、義弟の俺が結婚なんてできるか。
という論理らしい。
