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側にいられるだけで④【牡丹の花の咲く頃には】

第18章 第四話 【牡丹の花咲く頃には】 祖父の願い

 何より大切な商売物に血がついたりしては大事である。
 昼からは近くの市場まで買い物に行き、鶏肉屋で鶏肉と八百屋で野菜を買ってきた。今、キョンシルの眼前には、蒸した鶏肉ともやしと青菜のおひたし、クッパ(汁飯)、キムチと心づくしのご馳走が並んでいる。
 トスはこれを見て少しは歓んでくれるだろうか。考えるのは、そんなことばかりだ。
 今朝は、結局、話はうやむやのままで終わってしまった。いや、幾ら話し合いを重ねても、所詮は意味のないことなのだろう。トスはソンとキョンシルの間に恐らくは何もなかったのであろうと信じてくれている。信じているのに、なお、感情で割り切れない部分があるのだと言っているのだ。

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