テキストサイズ

側にいられるだけで④【牡丹の花の咲く頃には】

第18章 第四話 【牡丹の花咲く頃には】 祖父の願い

 つまり、裏返せば、トスはキョンシルの心を信じていないからこそ、いまだに王宮でキョンシルがソンと共に過ごした日々に囚われ、拘っているのだともいえる。
 ならば―と、キョンシルは考える。仮にトスにキョンシルの想いはずっと変わらないのだと告げたら? たとえソンと夜毎同じ部屋で眠っていたとしても、心は常にトスの側にあったのだと信じさせることができたなら、トスの頑な心も少しは和らぐのではないか?
 多分、トスは自信がないのだろう。ソンと共にいたわずかな期間、キョンシルが束の間でもソンに心を預けていたのではないか。そう思って、疑心暗鬼になっている。だとすれば、トスにキョンシルの心の真実を、たとえ寸分たりともトスへの気持ちは揺らぐことはなかったのだと伝えられたら。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ