側にいられるだけで④【牡丹の花の咲く頃には】
第18章 第四話 【牡丹の花咲く頃には】 祖父の願い
殊にトスが今、キョンシルの気持ちを信じられなくなっているというなら、小手先のやり方ではかえって事態を紛糾させかねない。
キョンシルの心を、トスへの想いを真っすぐに伝えることこそが、彼の心を動かし得る唯一の手段となるのではないかという確信があった。
更にもう一つ、キョンシルには気がかりがある。それは他ならぬトスが昨夜、赴いた場所であった。ウンスクの言葉によれば、トスは間違いなく、いつもの酒場ではない別のところに行っている。
早朝に帰ってきた時、彼の身体からはかすかではあるが、いつもとは違う匂いがした。安物の白粉の香りは、つまりはトスが他の女人とずっと一緒にいたという証でもあった。
キョンシルの心を、トスへの想いを真っすぐに伝えることこそが、彼の心を動かし得る唯一の手段となるのではないかという確信があった。
更にもう一つ、キョンシルには気がかりがある。それは他ならぬトスが昨夜、赴いた場所であった。ウンスクの言葉によれば、トスは間違いなく、いつもの酒場ではない別のところに行っている。
早朝に帰ってきた時、彼の身体からはかすかではあるが、いつもとは違う匂いがした。安物の白粉の香りは、つまりはトスが他の女人とずっと一緒にいたという証でもあった。