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　自分の知らない場所で恋人が他の異性と二人だけで親密な刻を過ごした―、そう考えることはとても辛く苦しい。相手への想いがより強ければ強いほど、その苦しみも葛藤も大きくなるだろう。
　トスはまさに今、その苦しみに苛まれているのだ。たとえトスが妓生を抱いていないとしても、キョンシルは真実を知らないのだから、一人で悶々と思い悩むしかない。ありもしないことでも、相手を恋い慕っていれば、十分に嫉妬の対象にはなる。ただ恋人が自分ではない誰かと過ごしたというだけで、こんなにも胸が妖しくざわめくのだ。
　その瞬間、キョンシルは人を愛するのがどういうことかを初めて理解できたように思った。