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側にいられるだけで④【牡丹の花の咲く頃には】

第19章 第四話 【牡丹の花咲く頃には】 再会

 けして孫とは認めぬ、女中として扱うという条件付きで、崔家に逗留することになったのだ。トスに棄てられたという絶望感と哀しみに打ちひしがれ、年の近い女中たちからは羨望と憎しみの眼で見られての辛い日々だった。
 女中たちからの嫌がらせから庇ってくれたのは、幼なじみの周(ジユ)福(ボク)、やはり崔家で下男として奉公していた。幼い頃はガキ大将でキョンシルを苛めてばかりいた彼から予想外にも求婚されたりもした。馬執事の話によれば、ジュボクは半年前、屋敷を辞めたそうだ。
 元々、彼の実家は八百屋を営んでいる。父の仕事を手伝い、そろそろ家業を継ぐための修業に本腰を入れたいのだとイルチェにも認められ、円満に暇を取ったとのことだった。

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