側にいられるだけで④【牡丹の花の咲く頃には】
第19章 第四話 【牡丹の花咲く頃には】 再会
ジュボクのお陰で随分と救われたが、それでも、実の祖父からも冷たく当たられ、キョンシルにとってはけして居心地の良い屋敷ではなかった。なのに、今、久しぶりに眼にする屋敷は何故か無性に懐かしさをかき立てる。
まるでキョンシルの体内を流れる父の血が、魂が生まれ育った屋敷に漸く戻ってきて、心から歓んでいるかのような―不思議な感覚であった。初めてこの屋敷内に脚を踏み入れたときには感じなかった郷愁にも似た気持ちが今、彼女を支配していた。
馬執事は一旦部屋の前で声をかけてから、静かに扉を開け、キョンシルに中に入るように促した。
まるでキョンシルの体内を流れる父の血が、魂が生まれ育った屋敷に漸く戻ってきて、心から歓んでいるかのような―不思議な感覚であった。初めてこの屋敷内に脚を踏み入れたときには感じなかった郷愁にも似た気持ちが今、彼女を支配していた。
馬執事は一旦部屋の前で声をかけてから、静かに扉を開け、キョンシルに中に入るように促した。