
側にいられるだけで④【牡丹の花の咲く頃には】
第19章 第四話 【牡丹の花咲く頃には】 再会
「いいえ」
キョンシルは短いけれど、きっぱりと応えた。
「十七年前も今も、お祖父さまのお立場としては、そう言うしかないのだとは私も理解しております。お祖父さまは名門崔氏を背負って立つお方。ゆえに、お祖父さま個人の感情と当主として取るべき行動とは必ずしも相容れないものだと判っているつもりです」
イルチェの眼が愕きに見開かれた。
「何と、チソンは得難い娘を残していったのだ。そなたの聡明さは到底、市井で生い立ったとは思えぬものがある。チソンよ、そなたはこの父に何ものにも勝る宝を与えてくれたのだな」
キョンシルは短いけれど、きっぱりと応えた。
「十七年前も今も、お祖父さまのお立場としては、そう言うしかないのだとは私も理解しております。お祖父さまは名門崔氏を背負って立つお方。ゆえに、お祖父さま個人の感情と当主として取るべき行動とは必ずしも相容れないものだと判っているつもりです」
イルチェの眼が愕きに見開かれた。
「何と、チソンは得難い娘を残していったのだ。そなたの聡明さは到底、市井で生い立ったとは思えぬものがある。チソンよ、そなたはこの父に何ものにも勝る宝を与えてくれたのだな」
