
側にいられるだけで④【牡丹の花の咲く頃には】
第19章 第四話 【牡丹の花咲く頃には】 再会
猿男はキョンシルの手前で立ち止まった。相手が明らかに両班、しかもこんな時間にイルチェを訪ねてくるからには親しい知り合いに違いなく、キョンシルは礼儀として頭を下げた。
だが、相手の男はキョンシルを睨(ね)めつけるように見つめているだけだ。まるで値踏みするような冷たい視線は、猿というよりは、蛙とでも言えようか。
「さ、お嬢さま、こちらへ」
馬執事に促され、キョンシルはもう一度、猿男に頭を下げてから側を通り抜けた。振り向かずとも、あの気味の悪い男がまだ廊下に立って自分をじいっと見ているのが判る。
角を曲がり、男の視線からやっと逃れられたところで、キョンシルは馬執事に訊ねた。
だが、相手の男はキョンシルを睨(ね)めつけるように見つめているだけだ。まるで値踏みするような冷たい視線は、猿というよりは、蛙とでも言えようか。
「さ、お嬢さま、こちらへ」
馬執事に促され、キョンシルはもう一度、猿男に頭を下げてから側を通り抜けた。振り向かずとも、あの気味の悪い男がまだ廊下に立って自分をじいっと見ているのが判る。
角を曲がり、男の視線からやっと逃れられたところで、キョンシルは馬執事に訊ねた。
