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側にいられるだけで④【牡丹の花の咲く頃には】

第19章 第四話 【牡丹の花咲く頃には】 再会

 キョンシルは微笑んだ。
「お祖父さまの側に馬執事のような方がいて下さって、良かったです」
 馬面の人の好い執事はにっこりと笑った。
「私の父は旦那さまよりも十歳年長で、畏れ多いことですが、旦那さまとは幼い頃より兄弟のようにして育ったと申します。その父も私が十になってすぐに亡くなりました。父亡き後、旦那さまが私に学問を習わせて下さり、一人前にして下さったのです。ゆえに、私は心では旦那さまを我が父にも等しきお方とお思い申し上げておるのでございます」
 愕くべきことに、馬執事の父は祖父イルチェを庇って亡くなったのだという。イルチェは国王の信も厚く、その分、彼に権勢も集まっていた。そんな彼を妬む者は少なくはなかったのである。

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