
側にいられるだけで④【牡丹の花の咲く頃には】
第19章 第四話 【牡丹の花咲く頃には】 再会
ある日、イルチェが輿で宮殿に参内する途中、イルチェを狙って矢が飛んできた。明らかに彼を亡き者にせんとの企みであり、その時、付き添っていた馬執事の父が咄嗟に盾となりイルチェの生命を救ったというのだ。
馬執事は懐かしげに語った。
「私は父が四十を過ぎてやっと恵まれた一人息子でしてね。随分と甘やかされもしました。まだ年端もゆかぬ息子を残して逝かなければならない父を哀れだと旦那さまはお泣きになり、父が息を引き取る間際、私のことは生涯に渡って面倒を見るから心配しないようにとおっしゃって下さったのですよ」
「そんな経緯があったんですね」
キョンシルは感慨深く頷いた。道理で馬執事が祖父に心からの忠勤を誓い、イルチェはイルチェでまた彼を重用しているはずだ。
馬執事は懐かしげに語った。
「私は父が四十を過ぎてやっと恵まれた一人息子でしてね。随分と甘やかされもしました。まだ年端もゆかぬ息子を残して逝かなければならない父を哀れだと旦那さまはお泣きになり、父が息を引き取る間際、私のことは生涯に渡って面倒を見るから心配しないようにとおっしゃって下さったのですよ」
「そんな経緯があったんですね」
キョンシルは感慨深く頷いた。道理で馬執事が祖父に心からの忠勤を誓い、イルチェはイルチェでまた彼を重用しているはずだ。
