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側にいられるだけで④【牡丹の花の咲く頃には】

第19章 第四話 【牡丹の花咲く頃には】 再会

 馬執事の顔が曇った。
「ミンチュさまは、ご自分だけがお屋敷に迎えられなかったことをいまだに心外に思っておいでです。旦那さまも昔から、ミンチュさまのことを利にさとい小狡い奴と毛嫌いなされているのですよ。もっとも、お二人ともそこはご立派な両班ですから、表面は何事もなく穏やかにおつきあいなさっていますがね」
 馬執事がキョンシルを見た。
「畏れ多いことですが、私も正直申しますと、昔からあのお方は苦手です。それに、ミンチュさまは何より崔氏当主の座を狙っておいでです。旦那さまにもしものことがあれば、本家を継ぐのはご自分だと自負していらっしゃるのは間違いありません。何か嫌な胸騒ぎが致します。どうか、お嬢さま。ご身辺には十分お気を付けになって下さい」

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