
側にいられるだけで④【牡丹の花の咲く頃には】
第19章 第四話 【牡丹の花咲く頃には】 再会
家に入ろうとしたところで、足許に細い椿の樹が自生しているのが眼に入った。艶やかな紅が夜陰にもくっきりと浮かび上がっている。そこで、トスが雇い主のソンスの屋敷から摘んで帰ったという椿のことを思い出した。
早く水に挿してやらねば、しおれてしまう。と共に、花をくれた男の心までをも思い、思わず一人で頬を赤らめる。
祖父の容態はむろん気に掛かるけれど、祖父からトスとの結婚話、更に崔氏の後継者云々の話が出たときには正直愕いた。キョンシル自身はトスの気持ち次第だ。彼が仮に崔氏に入っても良いというのなら、当主夫人として夭折した父の分まで良人を支え家門の興隆に力を尽くしたい。
早く水に挿してやらねば、しおれてしまう。と共に、花をくれた男の心までをも思い、思わず一人で頬を赤らめる。
祖父の容態はむろん気に掛かるけれど、祖父からトスとの結婚話、更に崔氏の後継者云々の話が出たときには正直愕いた。キョンシル自身はトスの気持ち次第だ。彼が仮に崔氏に入っても良いというのなら、当主夫人として夭折した父の分まで良人を支え家門の興隆に力を尽くしたい。
