
側にいられるだけで④【牡丹の花の咲く頃には】
第19章 第四話 【牡丹の花咲く頃には】 再会
もとよりトスが望まないのであれば、祖父には申し訳ないけれど、崔氏に戻るつもりはなかった。孫としてできるだけ祖父の側にいて、孝養は尽くすつもりではあっても、キョンシルは崔氏の財産や名誉などには何の魅力も感じない。
キョンシルに必要なのはトスだけなのだ。彼が側にいてくれさえすれば、お金も富も地位も要らない。ゆえに、後継者の話はまだトスにはしない方が良いだろう。
それにしても、あの崔ミンチェとかいう男、嫌な奴だ。祖父の弟であれば、亡き父には叔父、キョンシルにも大叔父に当たる。満更、赤の他人というわけではない。しかし、あの冷え切ったまなざしは、人間ではなくハ虫類のように薄気味悪かった。
キョンシルの存在を知っていて、甥の忘れ形見が崔氏の財産目当てで名乗り出てきた―とくらいに考えているのかもしれない。
キョンシルに必要なのはトスだけなのだ。彼が側にいてくれさえすれば、お金も富も地位も要らない。ゆえに、後継者の話はまだトスにはしない方が良いだろう。
それにしても、あの崔ミンチェとかいう男、嫌な奴だ。祖父の弟であれば、亡き父には叔父、キョンシルにも大叔父に当たる。満更、赤の他人というわけではない。しかし、あの冷え切ったまなざしは、人間ではなくハ虫類のように薄気味悪かった。
キョンシルの存在を知っていて、甥の忘れ形見が崔氏の財産目当てで名乗り出てきた―とくらいに考えているのかもしれない。
