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側にいられるだけで④【牡丹の花の咲く頃には】

第19章 第四話 【牡丹の花咲く頃には】 再会

 キョンシルは溜息をつく。自分には両班になりたいという欲も財産への未練もないのに、どうも崔氏の家督争いに望むと望まずに拘わらず、巻き込まれていっているような気がしないでもない。
 しかし、それこそが自分という人間が背負って生まれた宿命―崔氏の嫡流であるという事実を何より示しているのかもしれなかった。
 キョンシルは余計な考えを振り払うようにかぶりを振ると、扉を開けて家の中に入っていった。

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