君の笑顔
第33章 言い表せない気持ち ~陽介~
「そうだよね……」
片野はまた小さくため息をつく。
「勝手に沢村んち来てって言ってごめんね。」
片野が俺をみた。
しっかりを結ってあるポニーテールが揺れる。
「あぁ、別に、いいけど。俺いても変わんないとは思うが。」
「変わるよ。」
即答する片野に思わずドキッとしてしまう。
「え?」
「ウラとね、肝試しのとき、昔ばっか見るなって言われたの。」
強引にウラが福島から片野を奪った、あのときか……
「“今”をみろって言われて。」
「それがなんか関係あんの?」
話が読めなくて思わず片野に聞く。
「あるよ。」
片野は笑った。
「スケは、私にとって“今”の代表っていうか…」
片野のいっている事はよく分からなかった。
分からないけれど、何故か嬉しい。
「それに…」
片野は続けた。
「スケ、あの時寂しそうな顔してたから。」
えっ?
「俺が?」
そんなわけない。
別に俺は…
「してたよ~」
なんとなく
片野には敵わない。
そんな気がする。