テキストサイズ

彼と心と体と。

第16章 寄り道


「おめでとう、頑張って」


「まあデートってのじゃなくて、ただ遊ぶだけなんだけどね」



そう言って拓海は笑った。
楽しみなのがあからさまにわかる。
あたしは少しだけ笑った。
取り繕うのも面倒で、適当に笑った。
全然楽しくなくて、ちゃんと笑えなかった。



「…そっか」



つぶやくように言って立ち上がり、上着を着た。
拓海は何も言わなかった。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ