テキストサイズ

変人を好きになりました

第17章 探偵と科学者

 クロタキさんの言葉を最後まで聞きたかった私としては空良くんの登場に若干の苛立ちを覚えた。
 それから気が付いた。恋人にこんなことで苛立っていること自体普通じゃない。クロタキさんの言っていた通りだ。



「私、帰りたいです」

「古都?」
「分かった」


 空良くんは驚いて私の顔を見つめ、クロタキさんは真顔でひとつ頷いた。どことなく嬉しそうに眉尻を下げている。


 思い出すのは怖いけれど、このまま私が何も思い出さないままでは周りの人たちを傷つけてしまう結果を生むかもしれない。記憶のヒントがたくさんある日本に帰れば何か思い出すかもしれない。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ