
変人を好きになりました
第22章 犯人探し
「柊一、なんか変」
とうとう口にした。
だって、昨日の夜中に帰ってきてから柊一は終始顔がたるんでいる。もちろん嫌味なくらい整った顔にたるみなんて微塵もないけれど、見た目ではない内面的な緩みがにじみ出ている。
なにかあったな、なんて俺じゃなきゃ気が付かないのかもしれない。柊一の傍にいてよく観察していたから。
よく分かる。
柊一が俺を疑っているのも分かっている。
溜め息をついた俺に柊一が顔を向けた。
「何を言っている。空良はいつも僕のことを変だと言っているだろ」
振り向いた顔は俺よりも高い位置にあって、自然と見上げる形になるのが悔しい。
「いつもよりって意味だよ。何かあったんだろ」
柊一が瞬きを繰り返した。
いつも鉄の仮面をつけているみたいな表情の柊一がこんなに分かりやすい反応をするなんて、原因は古都さんしかいないだろう。
古都さんを見つけたのか。
「何もない。それより、空良。聞きたいことがある」
そうきたか。
調べるのはやめたらしい。俺のことについて最近何かを調べていのは薄々気が付いていたけれど、正直そんなことをするより正面向かって聞いてくれたらどんなにありがたいかと思っていた。学生時代から一緒にいるってのに、今さら疑われるなんて居心地が悪くてしょうがない。
けれど、決心したような柊一の顔を見て、少し気が変わった。
少しくらい意地悪をしたってかまわないよな……。
「柊一。俺も聞きたいんだけどさ」
「なんだ」
訝しんでいるのがよく分かる声色だ。いつもみたいに感情を隠す柊一はどこに行ったっていうんだ。目の前にいるのは本当に俺の知っている柊一かと疑いたくなる。
奈緒に見せたら驚いて腰を抜かすんじゃないか。
「最近、家庭教師でも始めた?」
俺は目を細めて微笑んでみた。この顔をするとたいていの人は見とれてくれる。別にナルシストじゃないけれど、それくらい自覚はしている。柊一に関して言えば俺の顔なんてなんとも思っていないみたいだ。
女みたいな顔だと一度言ったきり容姿に関しては何も言ってこない。その一度だって俺が聞いたから答えただけだった。柊一は人間の容姿について感情的な興味はないらしい。
柊一は片眉を吊り上げて俺を睨んだ。
「意味が分からない質問だ」
とうとう口にした。
だって、昨日の夜中に帰ってきてから柊一は終始顔がたるんでいる。もちろん嫌味なくらい整った顔にたるみなんて微塵もないけれど、見た目ではない内面的な緩みがにじみ出ている。
なにかあったな、なんて俺じゃなきゃ気が付かないのかもしれない。柊一の傍にいてよく観察していたから。
よく分かる。
柊一が俺を疑っているのも分かっている。
溜め息をついた俺に柊一が顔を向けた。
「何を言っている。空良はいつも僕のことを変だと言っているだろ」
振り向いた顔は俺よりも高い位置にあって、自然と見上げる形になるのが悔しい。
「いつもよりって意味だよ。何かあったんだろ」
柊一が瞬きを繰り返した。
いつも鉄の仮面をつけているみたいな表情の柊一がこんなに分かりやすい反応をするなんて、原因は古都さんしかいないだろう。
古都さんを見つけたのか。
「何もない。それより、空良。聞きたいことがある」
そうきたか。
調べるのはやめたらしい。俺のことについて最近何かを調べていのは薄々気が付いていたけれど、正直そんなことをするより正面向かって聞いてくれたらどんなにありがたいかと思っていた。学生時代から一緒にいるってのに、今さら疑われるなんて居心地が悪くてしょうがない。
けれど、決心したような柊一の顔を見て、少し気が変わった。
少しくらい意地悪をしたってかまわないよな……。
「柊一。俺も聞きたいんだけどさ」
「なんだ」
訝しんでいるのがよく分かる声色だ。いつもみたいに感情を隠す柊一はどこに行ったっていうんだ。目の前にいるのは本当に俺の知っている柊一かと疑いたくなる。
奈緒に見せたら驚いて腰を抜かすんじゃないか。
「最近、家庭教師でも始めた?」
俺は目を細めて微笑んでみた。この顔をするとたいていの人は見とれてくれる。別にナルシストじゃないけれど、それくらい自覚はしている。柊一に関して言えば俺の顔なんてなんとも思っていないみたいだ。
女みたいな顔だと一度言ったきり容姿に関しては何も言ってこない。その一度だって俺が聞いたから答えただけだった。柊一は人間の容姿について感情的な興味はないらしい。
柊一は片眉を吊り上げて俺を睨んだ。
「意味が分からない質問だ」
