
変人を好きになりました
第22章 犯人探し
これ以上古都にも柊一も近づかないでほしい。次に何かしようっていうなら、その前に俺があいつの首でも折ってやりたい。
「物騒なことを考えるな。空良が殺人鬼になるのは僕としても喜ばしくない」
「わお。いつもの柊一だ」
他人の内側をいともたやすく当ててみせるのにはもう驚かなくなった。
「それで、黒幕がいるって考えてるんだろ?」
柊一は黙ったままひとつ頷いた。
黒幕ねえ。どうして柊一がそう考えるのかは分からないけれど、俺もそんな気がしていた。
宿谷里香だけでは古都の存在をあんなに利用して柊一を脅すことはできなかったに違いない。
なぜ柊一が古都に好意を寄せていると分かった? そういう所は徹底していて柊一は周囲の誰にも古都の存在を離していなかった。俺は別だけど。
そこまで考えたら笑いが漏れた。
ああ、俺が疑われたのも仕方ないな。俺しか考えられないから。
でも、俺じゃない。
古都の存在を知っていて、古都の控えめな性格をよく知った人でないと宿谷里香の計画は狂ってしまう。
もし古都が奈緒みたいなあけっぴろげな性格だったら、柊一を問い詰めるなり、あの女の家へ乗り込むなりして暴れかねない。
理由はよく分からないけれど、柊一が目をつける所が外れることはない。
写真を撮ったのはプロじゃないと言うのなら、たぶんそれはアタリだ。じゃあ、一体誰が?
「俺以外で犯人候補はいないの?」と尋ねると柊一は無表情のまま首を横に振った。
ようやく普段の柊一に戻った気がする。無表情でいてくれる方が安心するっていうのは少しおかしいかもしれない。
古都は今どこにいるんだろう。まだ宿谷蒼さんの所だろうか。記憶が戻ったのに、あの若社長の下で働く理由なんてあるんだろうか。
仕事が思いのほか楽しかったとか、責任感の強い古都は仕事を投げ出せない可能性も大いにある。
「宿谷蒼……。現れたタイミングがすごい都合良いと思うんだけど、関係はないかな」
「それはない。蒼さんは古都さんと僕を見つけたときに驚き以外の表情は見えなかった。もし蒼さんが絡んでいたなら僕と古都さんを見たときに嫌悪の表情を示すだろう」
「え? 柊一と古都は宿谷蒼さんに見つけられた時何してたわけ?」
「物騒なことを考えるな。空良が殺人鬼になるのは僕としても喜ばしくない」
「わお。いつもの柊一だ」
他人の内側をいともたやすく当ててみせるのにはもう驚かなくなった。
「それで、黒幕がいるって考えてるんだろ?」
柊一は黙ったままひとつ頷いた。
黒幕ねえ。どうして柊一がそう考えるのかは分からないけれど、俺もそんな気がしていた。
宿谷里香だけでは古都の存在をあんなに利用して柊一を脅すことはできなかったに違いない。
なぜ柊一が古都に好意を寄せていると分かった? そういう所は徹底していて柊一は周囲の誰にも古都の存在を離していなかった。俺は別だけど。
そこまで考えたら笑いが漏れた。
ああ、俺が疑われたのも仕方ないな。俺しか考えられないから。
でも、俺じゃない。
古都の存在を知っていて、古都の控えめな性格をよく知った人でないと宿谷里香の計画は狂ってしまう。
もし古都が奈緒みたいなあけっぴろげな性格だったら、柊一を問い詰めるなり、あの女の家へ乗り込むなりして暴れかねない。
理由はよく分からないけれど、柊一が目をつける所が外れることはない。
写真を撮ったのはプロじゃないと言うのなら、たぶんそれはアタリだ。じゃあ、一体誰が?
「俺以外で犯人候補はいないの?」と尋ねると柊一は無表情のまま首を横に振った。
ようやく普段の柊一に戻った気がする。無表情でいてくれる方が安心するっていうのは少しおかしいかもしれない。
古都は今どこにいるんだろう。まだ宿谷蒼さんの所だろうか。記憶が戻ったのに、あの若社長の下で働く理由なんてあるんだろうか。
仕事が思いのほか楽しかったとか、責任感の強い古都は仕事を投げ出せない可能性も大いにある。
「宿谷蒼……。現れたタイミングがすごい都合良いと思うんだけど、関係はないかな」
「それはない。蒼さんは古都さんと僕を見つけたときに驚き以外の表情は見えなかった。もし蒼さんが絡んでいたなら僕と古都さんを見たときに嫌悪の表情を示すだろう」
「え? 柊一と古都は宿谷蒼さんに見つけられた時何してたわけ?」
