
変人を好きになりました
第6章 行き交う想い
黒滝さんは彼女の性格に気が付いていないのだろうか。人を見抜くことが趣味な彼に限ってそんなことはありえないと思ったけれど、好きな人に対しては盲目になるという。
あの変人な科学者でも恋をすれば周りが見えなくなるのかもしれない。
そんなことを悶々と考えていると気が滅入ってきた。
「早く空良さん帰ってこないかな」
ふと口をついて出たのは空良さんの名前だった。
空良さんがいなかったら私も子供たちももっと深く傷ついていた。
アイドルのような容姿は周りを自然と明るくさせるし、明るい性格に私はすごく助けられている。
「僕で悪かったな」
声のする入り口のほうを急いで振り返るとそこには黒いコートに身を包んだ黒滝さんが不機嫌な表情を顔に張り付けて立っていた。
まず何から言っていいのか分からずに、私は口を開けて黒滝さんを眺める。
おかえりなさい?
さっき、出ていけと言ったのにそれはどうかな。
里香さんはどうされたんですか?
それじゃあ、里香さんのことを気にし過ぎていると変に思われる。
いえ。つい空良さんの名前が出ちゃっただけで……。
いや、これこそないだろう。
「空良が出て行ってから5分も経っていないのに、もう寂しいのか。重症だな」
こんなに敵意を向きだしにした声が私に向けられたのは初めてだ。
不機嫌な黒滝さんはいつもの嫌味な笑顔もせずに、高圧的な態度のまま応接間のソファに腰掛ける。
少し苛立つ。
「そんなんじゃありません。それに、重症なのはどっちですか。さっき言ったことは変えませんから」
黒滝さんは気怠いように長い首を傾げて目の前の椅子に座る私を睨んだ。
こんなに感情をむき出しにする人だったっけ……。
さっきはすごく優しい顔で愛ちゃんを見ていたのに、同じ人と思えない。
「そんなに空良とふたりきりになりたいのか?」
そうじゃない。と心の中でつっこむ。
「空良さんは関係ありません」
「どうかな。昨日だって仲良さそうに食事をしていただろ。僕は苦手なピーマンを古都さんに食べさせてもらったことはない」
え?
空良さんに大根を食べさせている所を見られていたのだろうか。
「僕の推理も間違っていたみたいだ。古都さんはああいう可愛い男がタイプだったみたいだし。面食いだとは思わなかった」
あの変人な科学者でも恋をすれば周りが見えなくなるのかもしれない。
そんなことを悶々と考えていると気が滅入ってきた。
「早く空良さん帰ってこないかな」
ふと口をついて出たのは空良さんの名前だった。
空良さんがいなかったら私も子供たちももっと深く傷ついていた。
アイドルのような容姿は周りを自然と明るくさせるし、明るい性格に私はすごく助けられている。
「僕で悪かったな」
声のする入り口のほうを急いで振り返るとそこには黒いコートに身を包んだ黒滝さんが不機嫌な表情を顔に張り付けて立っていた。
まず何から言っていいのか分からずに、私は口を開けて黒滝さんを眺める。
おかえりなさい?
さっき、出ていけと言ったのにそれはどうかな。
里香さんはどうされたんですか?
それじゃあ、里香さんのことを気にし過ぎていると変に思われる。
いえ。つい空良さんの名前が出ちゃっただけで……。
いや、これこそないだろう。
「空良が出て行ってから5分も経っていないのに、もう寂しいのか。重症だな」
こんなに敵意を向きだしにした声が私に向けられたのは初めてだ。
不機嫌な黒滝さんはいつもの嫌味な笑顔もせずに、高圧的な態度のまま応接間のソファに腰掛ける。
少し苛立つ。
「そんなんじゃありません。それに、重症なのはどっちですか。さっき言ったことは変えませんから」
黒滝さんは気怠いように長い首を傾げて目の前の椅子に座る私を睨んだ。
こんなに感情をむき出しにする人だったっけ……。
さっきはすごく優しい顔で愛ちゃんを見ていたのに、同じ人と思えない。
「そんなに空良とふたりきりになりたいのか?」
そうじゃない。と心の中でつっこむ。
「空良さんは関係ありません」
「どうかな。昨日だって仲良さそうに食事をしていただろ。僕は苦手なピーマンを古都さんに食べさせてもらったことはない」
え?
空良さんに大根を食べさせている所を見られていたのだろうか。
「僕の推理も間違っていたみたいだ。古都さんはああいう可愛い男がタイプだったみたいだし。面食いだとは思わなかった」
