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赤い印

第5章 夜の天文部

気を取り直して星空を見上げる。
キラキラきらきら、星が輝いている。

「今日月がないから余計だよね」
雄治がいつの間にか隣に立っていた。
「うん。星が映えるね」
「あ、ほら、白いスピカ!」
雄治が指差してはしゃいでいる。

まだ中学生が抜け切っていないようだ。

「杏樹?聞いてる?」
私の右腕に左腕を絡ませながら
雄治が拗ねた様に言った。

「聞いてるよ。ただ、雄治が可愛いなぁって思って。」
「あ、子ども扱い禁止って去年言わなかったか?」
急に雄治の目の色が変わる。

やばい、と思ったら

もう遅い。

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