人生憑依。
第2章 醜い幸福
「んむ…っ」
ぎゅっと目を瞑ると同時に
触れたザラッとした感触。
…舐められたのだ。
「な、…?」
「ケチャップ、ついてたよ?」
にっこり笑いながら相葉は
俺の上から退いて立ち上がる。
俺も半身を起こして
唇を拭った。
やっぱり相葉は馬鹿なのだろうか。
ケチャップがついてたくらいで
普通、舐めたりしない。
二宮も二宮だ。
ケチャップなんかつけてきて
餓鬼か。
「っ、何すんだ馬鹿!」
一気に起き上がった俺は
相葉に突っかかる。
すると、相葉は犬みたいに
顔を綻ばせた。
「うひゃひゃ!にのが怒ったーっ!」
逃走する相葉。
俺は途中まで追いかけたが、
この身体に体力はあまりないようで
すぐに俺は諦めた。
「……はぁ、」
溜め息をして
ぼーっとする。
不意に階段を降りた。
足取りが軽い。
二宮は小柄な身体のようで
腕などが細い。
「…華奢だな」
なんて呟いてると、
あっという間に目的地に着いた。
少し一呼吸を置いて
ドアを開く。
「しょ、翔さん…?」
「あ…っ」
一気に体が火照った。