人生憑依。
第3章 最低思考
「―…ん、…」
パチッと瞼を開けると
視界には夕焼け空が入る。
…ここはどこか、と
寝ていた身体を起こし
辺りを見渡すと、
そこは見慣れた屋上だった。
「…ん?」
両手を前に出すと、
それは明らかに大野智の手だ。
憑依の力が切れたのか…?
だとしたら、
二宮はどこだろう。いつ、切れた?
「あ、起きたんですか」
背後からの
冷たい声にびくっと肩が跳ねた。
振り返ると、
目当ての人物がそこに立っていた。
「に、のみや…」
目が合うと、にこりと笑う。
目は笑っていないが。
すると、二宮は
俺の隣に座ってきた。
「随分、俺の身体で盛り上がったんですね」
「…うん」
二宮から痛いほどの殺気を感じる。
「目が覚めたら、俺は保健室にいて翔さんが心配そうに見つめてました」
「……」
「翔さん、自分がイきっぱなしだったのが悪かったんだって言ってました」
正直、二宮の言いたいことがわからず
二宮の話は頭に入ってこなかった。
下を向いてると
刹那に顎を掴まれ無理矢理上を向かせられる。
「あ…?」
「どうやって俺の身体で翔さんとやったんですか」
「教えない」
ぷいっとそっぽを向く。
すると、また顎を掴まれて顔を向けさせられた。