人生憑依。
第3章 最低思考
「あなたが盛り上がっている時俺、ずっと眠ってたような感覚がありました。でも確かに俺の身体は翔さんとやってたんですよ。…どういうことですか?」
「俺が知るわけないだろ」
俺の顎を掴む二宮の手を叩く。
冷たく言い放つと二宮は、
「い゙っ」
俺の頬をつねりだした。
「やひぇ、…っ―」
「俺の身体をどうやって操ったのか言わなきゃ離しません」
ぎりぎりと爪を立てる二宮に
俺は明らかなる恨みを感じた。
痛みで涙が滲む。
「うぅうっ…」
「言いますか?」
俺は歯を食いしばって、
二宮を睨む。
だが、そんな気も失せた。
二宮も、泣いてた。
耳を真っ赤にして
目を潤ませて睨んでる。
…よく考えてみればわかることだ。
泣きたいのは二宮だろう。
「俺の身体で、誰かが、あんたが翔さんとやったと思うと…っ悔しくて…っ」
ぱっ、と頬から手が離れる。
ジンジンと熱を帯びた痛みが
刹那に襲う。
「翔さんは誰からもモテるほど、かっこよくって、だから俺誰かに翔さん取られないように必死だったのに…っなんで…っ俺の努力…全部…っ全部水の、泡…っ」
―ドンッ…
鈍い音が俺の胸に叩きつけられる。
二宮は何回も何回も、
俺の胸を叩いた。
…初めて、自分がどんなに下劣かを
思い知った。