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人生憑依。

第4章 番外編 妄想笑顔




意外と、俺らの番は早くに来た。



「いちについてー」



その合図の声で
俺はスタート地点の線に膝をつける。

ああ、砂利が痛い。
なんて思いながら、ふと靴を見る。
靴紐がほどけていた。


あれ…?いつの間に。


直そうと一旦地面から手を離す。



「よーい」



―仕方ない。このままで行こう。


刹那的に決意すると
俺は腰を高くあげた。
そして、…―



―パァンッ



一気に地面を蹴り上げる。
だけどその直後

明らかな違和感を感じ
体制が崩れた。



「って…!」



地面に打ちつけられて
呼吸が難しくなる。

女子のざわめきが聞こえる。

今は騒がないでよ。やめて。
俺が情けない生き物みたいになるじゃん。

腕に力を入れるがうまく入らない。
腕が震えてる。顔が熱い。



「く…っ」



痛い。
力をいれると、肘と膝、腹が激しく痛みを走らせた。



「大丈夫?立てる?」



すっと差し出されたあの声と手。
見上げると、
綺麗な顔をした男が立ってた。

更に顔が熱くなる。



「…ふ、震えて、立てない」

「そっか、じゃあ手掴んで」



言われるがままに手を掴むと
その人は力いっぱいに引っ張って
俺を立たせた。


今思えば落ちるのなんて
こんなにもさりげないんだ。



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