テキストサイズ

KISSからはじめよう

第6章 智、そわそわする

「大野さん…!?」

おれの胸の中で抵抗する訳でもなく
小さく名前を呼んだ

「森さん…」

おれも名前を呼んで
さっきよりきつく抱き締める

ドキドキが伝わってしまいそうだ
鼓動が聞こえてやしないか
さらにドキドキしてしまう

「大野さん…苦しい…」
「ご、ごめん…」

ゆっくり身体を離すと
真っ赤になった顔でおれを見つめる

「酔って…ます…?」
「違うよ…こうしたかったんだ」

身体は離れているが手は離さずにいた
彼女は赤い顔で
繋いでいる手をじっと見ている

「会いたくて…こんな風に…抱き締めたくて
……おれは…その…」
「大野さん…私…も…」

私も…?
おれとこんな風に過ごしたかったってこと?ホントに?

「嬉しいな…」

指を少しだけ絡めて握ると
彼女もぎゅっと握り返してくれる

「森さん…おれ…好きです…」
「私も…」

耳まで真っ赤にして言う彼女を
もう一度抱き寄せて
「ありがと」と言った

ストーリーメニュー

TOPTOPへ