先生が教えて。
第14章 兄弟
「ほら立てよ…
スーツにしわつくぞ…」
ん?
兄貴のの顔を見ると、口に傷がついている。
血が滲んでいて痛そうだ。
そういえば小鳥遊も口に傷ついてたな…。
偶然だよな?
第一、お互い口に傷付けるには口に接触しないと駄目だろう。
すなわちキスだ。
兄貴はあり得るとしても、小鳥遊はそんな事するような奴じゃないな。
俺は構わず台所で調理を始める。
「隆司お母さん~
ご飯まだ~?」
何時の間にか着替えを済ませてダイニングテーブルに座った兄貴が、飯を急かす。
「気色悪い。やめろ」
「俺、今日はトマトとか勘弁な。
口の傷にしみる~」
「…、お前さ
その口どうしたの?」
「あぁ…、これな…」
兄貴はバツの悪そうな顔をして口元をさする。
「失敗したんだ」
ニヤッと笑って兄貴は言った。
全く、何を失敗したんだか。