先生が教えて。
第31章 新たに
「はい。」
カップと、角砂糖の入った容器が運ばれてきた。
普段は砂糖を二個から三個くらいしか入れないけど、今日は総司みたいに十個くらいいれてみた。
隆司は何も言わずただじっと私の行動を見ている。
そして私の隣に少し離れて座り、紅茶を飲み始めた。
私も続いて紅茶を飲む。
「甘…」
殆ど砂糖の甘い味しか感じない。
溶けきれていない砂糖がジャリシャリとした舌触りで口内を流れている。
「お前、それ甘くないの?」
「甘いよ…。」
すごく甘い。
「総司の真似してみた。」
「ふーん」
「今日ね、総司に会った。」
「へー」
「それでね、同棲してる彼氏と喧嘩して、別れて、家出てきちゃった」
「馬鹿じゃん。
なんで?」
「総司が、好きだから。
まだ大好きだから。
愛してるから。」
「本当に馬鹿だよな、お前って」
隆司はそれ以上何も言わず、聞かずに、ただ私の横に座っていてくれた。